令5 2学期始業式より(R5/9/1)「Done is better than perfect」

長いと思っていた夏休みも終わってみればあっという間でした。事前に立てた夏休みの計画は思い通りに実行できましたか?特に3年生の人、どうでしたか?恐らく完璧に実行できた人は少ないでしょう。できなかった人はすぐにできなかったことの検証と修正実行をして下さい。大事なことは、思い通りいかなかったことの検証と修正実行です。

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」とは、Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ氏の言葉です。原文は「Done is better than perfect」。繰り返しやることが、仕事の質を高めることを意味しており、中途半端な仕事をするという意味ではないので注意して下さい。一つのことにこだわって完璧にしようとするあまり、他のことに目がいかなくなり、全体で失敗したりチャンスを失ってしまうのはよくあることです。それより多少不完全でも一旦区切りをつけて、その後、何回も繰り返し検証と修正実行して質を上げていく方が、全体的に良い結果が得られます。ここで大事なことは区切りをつけた後の修正実行です。それはコンピュータのOSやアプリケーションの開発などで、多少のバグや不具合が見つけられなかったとしても、まずはリリースした上で後から何度もバージョンアップしていくことと同じです。そしてそれは、実は高校での勉強方法も同じではないでしょうか。

かく言う私も、中学時代に完璧主義的な勉強方法で何とかなったので、高校でも同じようにやったら失敗した経験があります。進学校の高校で必要な勉強の量と範囲は中学とは比べ物にならず、常に異なる勉強を同時進行でやらなければならないからです。それよりもまずは目の前の内容を一通り終わらせて、次のことに手を付ける。そして手が空いたら、以前やり残したことを復習を兼ねて再度勉強し直す。つまり、バージョンアップ式勉強法です。この方法は、常に多くの仕事を同時進行させなければならない社会人の仕事のこなし方、そして生き方そのものにも同じことが言えます。完璧な人間など存在しないので、失敗や不完全を繰り返し検証・修正してバージョンアップをすればよいのです。

さて、話題は変わりますが、この夏休み中の学校行事として、訪豪団が4年振りにオーストラリアに行ってきました。PTA会長さんを全体の団長として、生徒は10人、教員は私を含めた3人の合計14人で、7月30日から8月4日まで姉妹校であるベイサイドカレッジP-12を訪問してきました。ベイサイドカレッジは、オーストラリア南海岸沿いのメルボルン市の隣にあるボブソンズベイ市の中にあります。また、ボブソンズベイ市は、安城市の姉妹都市でもあります。詳しい話はこの後の訪豪団に参加した生徒のみなさんからの報告会に譲りますが、私からも少しお話したいと思います。

今回の訪問は4年振りということもあり、最初はお互いが手探りでしたが、天候にも恵まれ、大きな問題もなく無事終えることができました。行く先々で大歓迎を受けて、本当に気持ちの良い日々を過ごすことができました。短い滞在にもかかわらず、生徒の中には最後のホストファミリーとの別れ際にお互い涙ながらにハグをする姿も見られました。生徒にとってはかけがえのない経験になったと思います。

ベイサイドカレッジは日本で言う小学校、中学校、高校がそれぞれ別々のキャンパスとしてある一貫校で、日本語の授業も行っています。小学校の生徒さんからはこのような勉強した日本語も書かれたスーパーマリオの絵などを一人一人手渡しでもらいました。びっくりしたのは、1校あたりの全校生徒は300人ちょっとにもかかわらず、その生徒たちの話す母国語が全部で50以上もあると聞いたことです。そういった環境では、相手の考えを理解すること、自分の意思を伝えることなど、いわゆるコミュニケーション力が非常に大事なんだろうということが容易に想像できますね。私も英語はすっかり忘れてしまったので、現地では会話に苦労しましたが、先ほどの「完璧を目指すよりまず終わらせろ」という言葉の意味を本当に実感しました。会話においては、相手と完璧に話そうとするよりも、単語や文法が間違っていようと、身振り手振りなんかも交えて一生懸命伝えよう、理解しようとすれば、何とかなります。多少失敗しても、後から間違いを検証して修正すればよいのです。自分と異なる考えをもつ他者と接していくには、相手の考え方、発言、行動、立場、環境などを理解しようという姿勢と、自分の考えを伝えようとする努力と、適度な距離感と割り切りが大事です。これは何も外国の人とのおつきあいだけでなく、日本人同士の人間関係にも同じことが言えます。みなさん、いかがですか?普段、相手をしっかり理解しようとしていますか?

話を元に戻すと、今度は9月12日から15日に訪日団としてオーストラリアの生徒16人と先生4人が本校へ来られます。そして9月14日(木)7限には体育館で歓迎式典を行います。ホームステイ先になっている家庭や、授業の対象クラス、ESSの部活動以外の人たちは直接触れ合う機会があまりないかもしれませんが、式典ではぜひ大きな拍手とあふれる笑顔を、そして廊下などで見かけたらやはりとびきりの笑顔で「Hello!」と挨拶をしてあげて下さい。私たちもオーストラリア滞在中にたどたどしい日本語で「こんにちは!」と話しかけられた時には本当に嬉しくなりましたので、ぜひよろしくお願いします。やはり他者理解の基本は、姿勢と共にまずは挨拶と笑顔からです。

というわけで今日は二つの話をしました。一つは「Done is better than perfect」ということ。もう一つは訪豪団と訪日団の話から、他者理解についてでした。みなさんの2学期の学校生活が充実したものとなることを祈っています。応援しています。