令7 2学期始業式より(R7/9/1)「《謝》とコミュニケーションについて」

令和7年度2学期が始まりました。今年もまた暑い日が続いています。夏休み中、社会ではいろいろなニュースがありましたが、特に戦争に関する話が多かったように思います。戦後80年の話や、ロシアとウクライナの戦争、ガザ地区イスラエル紛争のニュースが毎日のように報道されてましたね。

その中で8月7日に、総務省が日本国内の人口を発表しました。それによると、現在日本人は1億2065万3,227人で、前年から90万8,574人減り、調査を開始した1968年以降で減少数、減少率が最大となりました。また、国内に住んでいる外国人は367万7463人で、調査を開始した2015年以降で最も多くなりました。前年から35万4,089人増え、増加数でも最多を記録したそうです。なお、愛知県は東京、大阪に次いで外国人の居住者が全国で3番目に多い県でした。人口の減少は気になるところですが、一方で外国人の方たちが増えてきているのは、ますます日本の多文化共生が進んでいると感じさせる結果でした。

日本を旅行などで訪れる外国人の方、いわゆるインバウンドも増えています。これは円安の影響もあります。日本政府観光局によると、2025年7月に日本を訪れた外国人旅行者は343万7,000人でした。昨年の7月と比べ14万人以上増え、7月の人数としては過去最多を更新しています。これで2025年の累計は、約2,495万人で、昨年の同時期と比べて380万人以上上回り、過去最高のペースで推移しています。

逆に私は、夏休み中の7月28日から8月1日にかけて、日本から海外へアウトバウンドとして、シンガポール研修に行ってきました。今回は国際理解コースの生徒と普通コースの生徒、教員と添乗員さんを合わせて、合計79人という大所帯でした。現地の大学生の方々と1日ずっと班別研修したり、シンガポールで働く日本企業のみなさんにお話を聞いたり、シンガポールの歴史や文化、都市開発や計画、海事産業などを学んできました。参加した生徒のみなさんも、授業で習った英語を駆使しながら、一生懸命相手に伝えようとしていました。非常に意義のある、そして視野が広がる良い経験となったと思います。

令和7年度シンガポール研修へ行ってきました! – 愛知県立 安城東高等学校

そこで思い出したのが、昨年オーストラリアの姉妹校に行った訪豪団です。シンガポール研修との違いは、訪豪団は主催がPTAであること、ベイサイドカレッジP-12という姉妹校があって、現地のスケジュールは基本的にお任せであること、宿泊はホームステイであること、1日の主な日程が姉妹校の授業見学と参加であること、シンガポール研修の参加者は国際理解コースの希望者全員と普通コースの希望者から選抜された10人であるのに対して、訪豪団は全生徒の希望者から選抜された15人であること。さらに日本からの距離が倍ぐらい遠いこと、などです。

逆に共通点は、研修の目的が両方とも「国際社会や地域社会に貢献できる人材の育成」であること、5日間という研修期間や中部国際空港での出発と帰着で乗る飛行機が同じであること、両国とも英語が公用語の一つで車は左側通行であること、治安がよく、日本人に親しみを持っている人が多いこと、現地の学校や会社では申し訳ないくらいに歓迎してくれたこと、などでした。

特に訪豪団では行く先々で大歓迎を受けて、本当に気持ちの良い経験をしました。ベイサイドカレッジでは日本語の授業も行っています。びっくりしたのは、生徒たちの話す母国語が全校で50以上もあると聞いたことです。そういった環境では、相手の考えを理解すること、自分の気持ちを伝えることなど、いわゆるコミュニケーション力が非常に大事です。生徒の中には、最後のホストファミリーとの別れ際に、お互い別れを惜しんで感謝を伝え、ハグを繰り返す姿も見られました。今回のシンガポール研修での現地の大学生との班別行動でも、同じような光景が見られました。その様子を見ていて、人間同士、お互いが優しい気持ちになれば国や言語の壁はなくなるな、極端な話、戦争なんて起きないのにな、と素朴で純粋な気持ちになりました。

唐突ですが、私が好きな漢字を一字選べと言われれば、私は言偏に射ると書く「謝」を選びます。この字は、言葉によって射る・贈る」という意味合いを持っていて、古くは、神様に対して「お礼」や「お詫び」を表す言葉として用いられていました。つまり感謝と謝罪の両方の意味があるんですね。簡単に言うと「ありがとう」と「ごめんなさい」です。この感謝と謝罪こそが、社会生活や人間関係において、円滑なコミュニケーションを支えるキーワードだと思います。特に日本の文化では、相手を思いやる心と表現が重要視されています。国際社会やビジネスにおいて、お互いが主張し合って意見をぶつけ合うことも必要ですが、相手を思いやって、円滑な人間関係を築こうとする日本的な姿勢も、例えば「おもてなし」に代表されるように今、世界で見直されています。感謝と謝罪を忘れなければ、喧嘩やトラブルは減るはずです。これは相手が外国人でも日本人でも同じです。未だに終わらない戦争の当事国の関係、多文化共生社会、シンガポール研修や姉妹校との交流、そして日本人同士の関係、全ての人間関係に当てはまることです。ぜひみなさんも「謝」の気持ちを常に持つようにしてください。

さて、最後に訪日団の話です。9月15日から20日に、今度は訪日団としてオーストラリアの姉妹校の生徒12人と先生3人が本校へいらっしゃいます。そして9月16日(火)7限には体育館で歓迎式典を行います。ホームステイ受け入れ先になっている家庭や、参加授業の対象クラス、ESSの部活動以外の人たちは直接触れ合う機会があまりないかもしれませんが、式典ではぜひ大きな拍手とあふれる笑顔を、そして校内で見かけたらやはりとびきりの笑顔で「Hello!」と挨拶をしてあげて下さい。私たちもオーストラリア滞在中にたどたどしい日本語で「こんにちは!」と話しかけられた時には本当に嬉しくなりましたので、ぜひよろしくお願いします。

今日は国境を越えた人間同士のコミュニケーションの話と、「謝」の気持ちをもつことについてお話をしました。2学期も1学期と同じように学校生活を充実させましょう。以上で終わります。