令6 2学期始業式より(R6/9/2)「東校の遣豪使~実体験から想像体験へ~」
長引いていた台風10号が過ぎ去りました。今、青空も見えています。これから暑さも少しは和らいでくるはずです。パリオリンピックでは、結果的に海外開催のオリンピック史上最多のメダル数を獲得しましたが、結果を出した選手も出せなかった選手も、みんながんばりました。お盆の前には九州で大きな地震もありました。そして夏休みが終わりました。さあ、2学期のスタートです。
みなさんは夏休みをどのように過ごしましたか?今年になってずっと言っていることですが、2学期も引き続き、安城東校の、そして自分の人生の、かけがえのない代表選手として、楽しいことも苦しいことも併せ飲んで、充実した高校生活となるように、前と上を向いて進んで行きましょう。
さて、私は夏休み中に奈良に旅行に行って、日本の古代、飛鳥奈良時代の史跡を見てきました。特に平城京跡では復元された遣唐使船や遣唐使解説コーナーがあって、とても興味深く見ることができました。その時改めて思ったのは、古代の日本は、中国大陸や朝鮮半島からの知識や情報や技術なしでは、とても発展することはできなかったということです。そして、それらを伝える人間の交流があったからこそ、日本の社会や文化は発展したのです。それは古代に限らず、明治時代初期に欧米に派遣された使節団や現代の留学生も同じです。
なぜ私がそんなことを考えたかというと、ちょうどその前に訪豪団としてオーストラリアの姉妹校に行ってきたからです。PTAの方が2人、生徒15人、教員3人の20人で、7月28日から8月2日まで姉妹校であるベイサイドカレッジP-12を訪問してきました。
参加した人たちは、そこで自分の価値観を揺さぶるような大きな経験ができたはずです。また、視野もかなり広がったはずです。具体的な交流の様子は、この後の訪豪団に参加した生徒のみなさんからの報告会にお願いしますが、私からは姉妹校の歴史や場所など、全体的な紹介をしたいと思います。姉妹校に行ったのは代表の人だけだから自分には関係ないことだと考えずに、ぜひみなさんも情報の共有と想像をして下さい。その共有と想像が、今日の私の話で一番言いたいことです。
まず、安城東高校の姉妹校の歴史です。安城東高校の創立5年目の1980年にはシドニー市のランドウィック・ノース校と姉妹校提携の調印をしています。現在の姉妹校であるベイサイドカレッジP-12の前身となるぺイズレー校と姉妹校提携したのは、東校創立10年目の1985年でした。その後、シドニーのハンターズヒル校とも姉妹校提携しましたが、現在までお付き合いが続いているのはベイサイド校だけとなりました。
ベイサイド校は、オーストラリア南海岸のメルボルン市の隣にあるホブソンズベイ市にあります。また、ホブソンズベイ市は、安城市の姉妹都市でもあります。ベイサイド校にはアルトナノース校、ウィリアムズタウン校、ペイズレー校の3つのキャンパスがあって、日本の小学生、中学生、高校生にあたる1~12年生がそれぞれの学校に通っている一貫校です。
3つのキャンパスは近くにあって、それぞれ車で10分以内の場所にあります。
また、ホブソンズベイ市は海のすぐ近くにあって、まるでディズニーシーみたいな、非常に美しい風景が見られる街です。
これはペイズレー校の正門と校舎です。
授業風景です。カリキュラムに日本語の授業があります。
また、各キャンパスに日本を紹介するコーナーがあります。安城東高校の校訓「達」が飾られていました。
アルトナノース校です。どのキャンパスも敷地が広くて、校舎は2階がない平屋の建物でした。
訪豪団が訪問するたびに記念碑が作られていました。実は安城東高校も訪日団が来るたびに記念プレートを作っています。昨年のものが正門の花壇に、昔のものが北門横にあります。
アルトナノース校は小学校と中学校が一緒になった学校で、小学生と中学生が一緒になって体育の授業をやっていました。
「We LOVE 日本語」「日本語大好き」なんて言葉が書いてありますね。
ウィリアムズタウン校です。
沢山の日本からの贈り物が大切に飾られていました。安城東高校のペナントやHPの写真も飾られていますね。
さて、話は奈良に戻りますが、この船の模型は平城京跡にあったものです。「中国から贈呈された日中1000余年の友好の証」と書いてありますね。日本と中国は長い間、人と人の交流を続けて、その人たちはお互いの異なる文化や考え方に刺激を受けて、視野を広げて、ものの見方や行動に変化を起こして、それを他の人たちに伝えて、他の人たちも視野が広がって行動に変化がおきて、そして国が変わっていきました。
国際交流における学校と学校の関係も同じでありたいと思っています。遣唐使も訪豪団も全員が行けるわけではありませんが、代表である訪豪団に参加した人たちは、受けた刺激を他の人にできるだけ多く伝えて、他の人もそれを受け取って視野を広げて、集団全体の変化につなげてほしいと思います。
実体験と想像体験というものがあって、人が実際に経験できることには限度がありますが、他人が実体験したことを伝えてもらって経験を想像すれば、その人の視野と考え方は実体験なみに広がります。それは読書による想像体験も同じですし、もっと言えば、みなさんが一生懸命頑張っている勉強も、過去の先人たちの築いてきたものの想像体験と言えます。人間の容量の大きさは、実体験に想像体験をどれだけ上乗せできるかで決まると思います。
みなさんは1人1人が東高の代表選手です。東高全体で取り組んでいる姉妹校との国際交流の情報を共有して想像体験する権利があります。個人的にも学校全体的にも視野を広げてほしいと思います。そして、来年度訪日団としてオーストラリアから来る姉妹校の生徒たちとの交流に役立てて下さい。