令6 1学期終業式より(R6/7/19)「君たちはどう生きるか」

六月十日・十一日に、本校最大の学校行事の一つである東高祭が開催されました。どの団も部活動もクラスも有志も、一生懸命練習や準備をした成果を発表していて、非常に盛り上がったと思います。開催前にお話しした今年の学校スローガン「1人1人が代表選手 東高は青春選手村」のように、みなさん1人1人が安城東高校を構成する代表選手として輝くことができたでしょうか。それが表舞台であっても裏方であっても、成功しても失敗しても、嬉しいことがあってもつらいことがあっても、全てみなさんの自分の人生における代表選手としての輝く経験です。そして東高祭だけでなく、これからの学校生活においても、常に自分が代表選手であるという意識をもって日々を過ごしてください。

さて、ここからは先日配付されたPTA通信「碧海野だより」に私が書いたことをもう少し詳しくお話します。今年の東高祭のテーマは、「~君たちはどうアゲるか~」でした。生徒会のみなさんが考えてくれたテーマで、タイトルは宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」をもじったものだと思います。映画自体は、アカデミー賞をはじめ、国内外で数々の映画賞を取ったことでも大きな話題となりましたが、内容は非常に難解で、解釈が難しく、賛否両論となった作品でもあります。この映画を見た人も多いと思いますが、私も映画館で見た時、「この映画はいったい何が言いたいのだろう?」と理解ができませんでした。しかし、ネットでいろいろな方の解釈を見ると、なるほどと思わせるものもありました。ネタバレになるので詳しくは述べませんが、私が共感したのは、「我々が生きている現実社会は、生臭い感情や悪意も存在するけれども、それでも葛藤して受け入れて乗り越えて、しっかり生きていくことに素晴らしい価値があるのだ」という解釈です。世の中は理想だけでは生きていけないため、現実との折り合いをつける必要がありますが、その中で君たちはどう生きるかというテーマを、ファンタジーとリアルの虚実を織り交ぜながら描いたというのです。私は共感し、映画で思い当たるシーンをいくつか思い出しました。そして、生きていくことは嫌なことや苦しいことも多いけれども、一生懸命やっていれば、逆に喜びもその何倍も多くなるため、しっかり向き合っていくことが大事なんだと思いました。

この解釈について、それが宮崎駿さんの意図したものと同じであるかどうかは別として、みなさんはどう思いますか?これから君たちはどう生きていきますか?安城東高校で勉強して、部活動なども頑張って、人間関係を作って社会性を学んで、苦しいことも楽しいことも積み重ねて、高校生活を充実させて、そしてその後の人生をどう生きていきますか?そんなこと、まだわからないよ、目先のことで精一杯だよと思う人も多いと思いますし、どう生きていくかは人それぞれでしょう。でも、ぼんやり何となく生きていくのと、しっかり考えて生きていくのでは、人生の充実度に大きな差が生まれます。そして先ほど私が言ったように、成功しても失敗しても、嬉しいことがあってもつらいことがあっても、それらは全てみなさんが自分の人生における代表選手として経験していくことです。世の中良いことばかりではなく、また良い人ばかりでもありません。そんな現実社会であっても、悩んで葛藤しつつ受け入れて乗り越えながら、生きていくことに素晴らしい価値があるのだということを忘れないで下さい。

明日から夏休みです。みなさんの代表選手としての活躍はこれからもずっと続きます。特に3年生のみなさんは、進路選択という、人生の中で数多くある分岐点の一つに今さしかかっています。みなさん充実した夏休みにして下さい。応援しています。